供養木箱「木霊」に到達するまでの試作 其の二

当店で初めて試作した手元供養商品はあっけなく却下となりました。 詳しくは供養木箱「木霊」に到達するまでの試作 其の一をご覧ください。

却下となった理由が「石材は室内に置いておくには重すぎて不向き!」ということです。 しかし、当店は石屋です。 石材を販売してナンボの職業ですので、どうしても頭の思考が石材に傾いてしまいます。

時間があれば新作手元供養商品について色々と頭を悩ませていたあるとき、ふとある人に言われた言葉が頭をよぎりました。 その方は建墓のご用命いただいた当店のお客様で、上場企業の副社長をしていた方です。 当店で建墓して以降、お寺さんで顔を合わせるたびに「元気に頑張ってる?」「仕事はどう?順調?」といつも笑顔で気さくに声を掛けてくれていました。
あるとき「年々お墓の需要が減っていて、石屋も厳しい時代なのですが、○○さんが僕の立場なら、これからどうして行きますか?」いうような話をさせていただいたときに「僕なら、もしかしたら発想を変えて全然違う方向へ進むことも考えるかもしれない!」と仰ったのです。 「全然違う方向」と言っても完全な業種転換という訳では無くて、いままでの業務を踏まえつつ、違う可能性も模索するというようなニュアンスだったと思います。 うる覚えでスイマセン…。

ということで、石材へのこだわりは捨てることにしました。 社名は株式会社中島石材なのに…。

すぐに頭に浮かんだのは木材です。 木材も石材と同じ天然の資源ですし、石材と同じく国産材や輸入材など種類も豊富にあります。 調べると既にたくさんの木製の手元供養商品が販売されているものの、その多くは人工的な合板を用いたものだったので、当店では100%無垢材を使用し、さらに塗装にもウレタン塗装のような人工的な塗膜を作るものではなく、天然資源100%のミツロウ塗装を用いて天然の素材の良さを損なうことのない製品を作ろうと考えました。

それで出来上がった当店の手元供養商品の試作品第2号がこちらです。

無垢材を使用して当店の粉骨加工サービス「粉雪」を経て、コンパクトになったご遺骨をこだわりの骨壷に納めてご供養するという商品(供養台・ステージ)です。 木材は国産材にこだわり、特に日本人に人気のサクラやケヤキなどを仕入れて自分たちで加工や研磨、ミツロウ塗装までして商品に仕上げました。

無垢材なので木材表面の木目や色などは同じ樹種でも少しずつ違いがあり、2つとして同じものはない唯一無二の商品です。 故人もご遺族にとって唯一無二の存在であることとの親和性もあり、出来上がったときは「これ、なかなか良いんじゃない!」と思いました。
香炉や花立てなどの具足(仏壇にあるようなお供えするための道具)も仕入れルートを開拓するだけでなく、以前よりご縁のあった栃木県の益子焼の窯元の作家さんに相談して試作品などもお願いして、より当店のオリジナリティーが出るように考えを膨らませていたのですが…。

骨壷の設置面積が小さくて不安定じゃない?

そうなんです。 オシャレな良い感じの骨壷は大体下側が細くなっているんです。 このご供養セット一式を棚の上に置いてある状態で、ドンとぶつかったら骨壷が転がり落ちてしまいそうなんです。 地震が来たら、ひとたまりも無いような安定感です。

粉骨加工後のご遺骨は、袋などは用いず骨壷に直に納めます。骨壷の蓋は湿気が入らないように密閉するのですが、さすがに骨壷が床に落下したら蓋が外れるどころか骨壷が割れて中のパウダー状のご遺骨が散乱してしまう大惨事となってしまう可能性があります。

骨壷が割れてもパウダー状のご遺骨が散乱しないように、ご遺骨を密閉袋に納めたものを骨壷に入れるという考えもあったのですが、そうするとご遺骨を納めた密閉袋の融通があまり効かないため骨壷のサイズを1〜2回り大きくしなければなりません。 そうするとご遺骨をパウダー状にして体積を小さくしたメリットも無くなってしまいます。

もちろん寸胴タイプの安定感のある骨壷も市販されていてサンプルとして仕入れてはみたのですが、やはり骨壷感が強いような気がして却下となりました。 本来骨壷なので骨壷感が強くて当たり前なんですけどね…。

下側が細くなっているおしゃれな骨壷を、両面テープなどで台に貼り付けて固定するということも考えましたが、大切な故人のご遺骨が万が一にも散乱してしまうリスクを考え、残念ながらこの手元供養の試作第2号(ご供養方法のご提案)も、あえなく却下となりました。

余談ですが、下側が細くなっているおしゃれな骨壷は、寸胴タイプの骨壷と比べると、同じ4寸サイズでも下側が細くなっている分容積が小さくなります。 感覚的には少なくとも1〜2割は容積が小さいのではないでしょうか? 骨壷をお求めの際のご参考まで…。

ちなみに、試作として色々製作した国産無垢材を使用した供養台は、現在当店で販売している供養木箱「木霊」を置く台としても使用することができ、ご希望のお客様には販売もしておりますので、お気軽にお申し付けください。
※現在、通信販売でのお取り扱いはしておりませんので、あらかじめご了承ください。

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