離檀(りだん)とは?

「檀家(だんか)」を辞めること、檀家契約を解消することを「離檀(りだん)」といいます。
檀家に関してはこちらをご覧ください。

 

ご供養の多様化が進む現代において、檀家と菩提寺(ぼだいじ)のトラブルを耳にすることも多くなりました。

その原因が寺院側にある可能性ももちろんあります。

普段の立ち振る舞いや言い方、コミュニケーションや布教活動の不足など、確かに一言物を申したくなるような寺院のご住職も実際にはいるのかもしれません。

しかし、一方では檀家である家側の方々が、檀家ということ、または檀家であるということを十分に理解していないということも原因のひとつのように感じます。

檀家側にももちろん言い分はあるのかもしれません。

しかし、契約をしたのはご本人ではないにしろ、一定の契約を経て檀家となっているはずの家が、一方的な主張を寺院側に押し付けているのを耳にすると、寺院側が気の毒に思うこともあります。

 

檀家制度は家と菩提寺の間で代々引き継がれていく契約ですので、家側でも特定寺院の檀家であることや、檀家としての務めなどを子孫に理解してもらうまで伝えることが何より大切です。

そのためには、お子さんたちと一緒に菩提寺へ足を運ぶ機会を設けることが重要なのではないでしょうか。

「子供たちは忙しくて迷惑を掛けられないから…」とご高齢者だけでお寺さんに来ているのを良く見掛けます。しかしお子さんたちに「我が家の菩提寺」という意識を持ってもらうためには足を運ぶ回数というのは実はとても重要なのです。

お子さんたちは仕事や日々の生活で、確かに忙しいのでしょう。でもお墓参りや法事、菩提寺の年中行事など、出来るだけ一緒に足を運ぶ努力をすることは必要なことです。

少しだけ忙しい日常から離れ、ご家族でゆっくりと菩提寺に足を運び、ご住職と会話を交わすということは決してマイナスなことではありません。むしろプラスなことの方が多いのではないでしょうか。

世代が変わった後、檀家であるという認識や理解の不足が原因で、子孫や菩提寺のご住職がお互いに嫌な思いをすることが無いよう心掛けていただきたいと切に願います。

 

しかし、現実問題として「菩提寺に対しての気持ちや信仰が無い」または「次世代には檀家であることを引き継がせたくない」というのであれば、自らの意思で檀家を辞めることも可能です。

 

「檀家」を辞める

冒頭で述べたように、「檀家」を辞めることを「離檀」といいます。

ただし、家側の意思で一度は檀家となったものを、時を経たとはいえ再度家側の意思で離檀するのであれば、寺院側に対してそれなりの配慮をもって手続きを進めることを心掛ることは重要です。

家側が自らの意思で結んだ契約を乱暴に破棄するということになれば、どこかの国の独裁者のようで、常識ある日本人としてはあまりにもお粗末だと思いますので…。

 

なお、檀家と菩提寺の「契約」に関しては、明確な契約書類が無いこともあります。

近年は相互のトラブル防止のために新たに特定寺院の檀家になる際には契約書類を交わすこともありますが、以前はお互いの信頼関係で成り立っていることが多かったようです。

 

ここで、忘れてはいけないのは「檀家」は家側の意思で特定寺院を菩提寺と定め、寺院側の了解を得て檀家となっています。決して無理やり檀家にさせられている訳ではありません。

契約書類が無いからといって寺院側に対して身勝手で乱暴な理屈を突きつければ、相手だって修業を積んでいる僧侶とはいえひとりの人間でもあります。

感情的になりスムーズに物事が進まなくなる可能性もありますので、くれぐれも離檀の手続きを進める際には菩提寺への配慮を忘れないように心掛けてください。

 

離檀を進めるうえで、やらなければならないことがいくつかあります。

石材店も営んでいて離檀のお手伝いの実績も豊富な当店店主が流れをご説明します。

 

〇菩提寺に離檀の意思を伝える前にすべきこと。

1.離檀を考えている理由を整理する。

「遠方に生活拠点を移してしまい、お墓参りが大変」「経済的な負担を軽減したい」「今後は宗教にとらわれない供養をしたい」など…。

2.現在お墓に埋葬されているご先祖様のご遺骨をどうしたいのか良く考える。

「新たにお墓(納骨堂・永代供養墓を含む)を取得してそこへ埋葬する(お墓の引っ越し=改葬)」「菩提寺に永代供養をお願いする」「散骨する」「手元供養する」など…。

3.2.で検討している手段が現実的に可能かどうか、また、係る費用がどのくらいになるのかを調べる。

4.縁のある親戚一同の理解と承諾を得る。

5.菩提寺に離檀を検討していることを事前に伝える。

6.石材店にお墓の撤去に関するお見積りをお願いする。

※5.と6.の順番はしっかり守ること。

 

〇考えや方向性がまとまったらすべきこと。

1.菩提寺に正式に離檀の意思を伝え、理解していただく。

※これが何より重要なポイントです。

2.お墓の中のご遺骨をどうするか家側の考えを伝える。

3.ご遺骨の移動先の準備を整える。

(1)改葬する場合には改葬先の契約を済ませる。
(2)菩提寺に永代供養をお願いする場合には永代供養の申し込みをする。
(3)散骨をする場合には散骨の申し込みをする。
(4)手元供養をする場合にはご自宅での安置場所を決めておく。

4.必要書類を整える。

(1)の場合には菩提寺の所在地の役所で改葬許可申請手続きして改葬許可証を発行してもらう。
(2)の場合は菩提寺に確認してください。
(3)の場合には散骨業者や散骨を予定している役所に確認してください。
(4)の場合には菩提寺に埋葬証明書(埋蔵証明書・納骨証明書)を発行していただく。

※埋葬証明書は改葬許可証と同じくご遺骨の身分証明書に準ずる書類となり「確かに〇〇さんのご遺骨はウチのお寺に埋葬されていたご遺骨ですよ」ということを菩提寺に証明してもらう書類です。手元供養をする場合にもご遺骨を未来永劫ご自宅でご供養できるわけではなく、いつかはお墓や永代供養墓、さらには散骨などを検討しなければならない時期が必ず来ます。その時に改めて改葬許可申請をする必要が出てきたときに埋葬証明書がないと改葬許可証を発行してもらえないことがありますので、必ず菩提寺に発行してもらってください。

5. 石材店にお墓の撤去処分の依頼をする。

※お墓の返還は原則基礎部分まで全て撤去し、土を埋戻して完全な更地にしなければなりません。これは寺院の墓地だけでなく、公共の霊園も同様です。

6.お墓の閉眼供養(魂抜き)とお骨上げ(お墓の埋葬されているご遺骨の取り出し)の日程を菩提寺と相談のうえ決め、実施する。

7.菩提寺にお布施する。

※経緯はどうであれ結果的には家側の意思で檀家として認めてもらったのにも関わらず、家側の意思で離檀する訳ですから、菩提寺に対して「いままでお世話になり、有難うございました」という気持ちは大切です。

ここで問題なのは、お布施の額です。

当店店主もお客様によく聞かれるのですが、これはあくまでお布施であり定価があるわけではありません。地域柄、いままでの菩提寺とのお付き合いの度合い、菩提寺へ対する気持ちなど、様々な状況が考えられますので一概には言えませんが、数千円というのは非常識です。職人さんに渡すお茶代じゃないんですから。

いままでお世話になりましたという気持ちを込めたお布施であることが重要だと思います。

当店店主の個人的な考えとしては、生活を削ってまで無理をする必要は無いかもしれません。ただ、後々「ちょっと少なかったかな…」と気になるような額ではないほうが、その後の気持ちもスッキリするのではないでしょうか?

檀家であることのメリット

新たに特定の寺院の檀家になる、または既に特定の寺院の檀家であるということは、菩提寺を経済的に支援し、菩提寺の宗派を信仰しなければならない義務が課される一方、菩提寺の宗派の教えに触れられる機会が多いという大きなメリットもあります。

 

当店店主は特定の宗派を定めている訳ではありませんが、仏教にはより良い人生を送るためのヒントや気づきがたくさんあるということを、身を持って感じている一人です。実際に仏教の教えの一部を実践するよう心掛けることでストレスを感じることがずいぶん減りました。いま思えば恥ずかしいのですが、以前はイライラしたり、チッと舌打ちをすることも多かったように思います。

僅かですが仏教の教えに触れ、気付きを得て考え方を意識するようになり、少しでも実践する努力をすることで自分自身でも大きく変わったと実感しています。

お墓離れが進んでいる現状

石材店も営む当店では、近年「墓じまい」や「離檀」に関する相談が年々増加の一途を辿っていますが、特定寺院の檀家であることは決してデメリットばかりではありません。

離檀をご検討の際には、いま一度良くお考えになることをお勧めいたします。

 

当店でも「墓じまい」のお手伝いをさせていただいております。

ただし、掛かる費用は安ければ安いほうがいいというお客様は出来れば他の石材店にご相談ください。当店は安価なことを特徴としている石材店ではありません。

でも、適正な価格で安心して任せられる石材店を探しているのであれば、是非当店にご相談ください。

「立つ鳥、跡を濁さず」となるよう、誠心誠意ご対応させていただきます。

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