粉骨加工後の真空包装について
当店へお問い合わせの中に「粉骨加工後に真空状態で密閉できますか?」というものがあります。
たぶん、そういうお問い合わせをしている方々は、インターネットに「遺骨にカビが生える」と書いてあるものを目にして不安を感じ、粉骨加工後にカビが生えることが無いよう 「真空にしたい」とお考えになっているのではないでしょうか?
当店では業務用のチャンバー式真空包装機というものを所有していますので、ご希望であれば99.9%の真空状態で密封することも可能です。
当店で実際に使用しているチャンバー式真空包装機がこちらです。
チャンバー式真空包装機
この機械は上部の透明なフタを閉めると内部の気圧が下がり、指示した真空度合いになったことをセンサーが感知すると自動で袋の開口部を熱による溶着で密封(シール)し、シールが終わると内部の気圧が元に戻り、自然にフタが開く仕組みとなっています。
ただ、99.9%の真空状態にした場合の密封後のご遺骨はカチコチとなってしまい、形状の融通が利かなくなってしまします。
どういうことかというと、密閉パックに入れて真空状態にするときには袋の開口部をシールする必要があるので、そこにパウダー状のご遺骨(粉骨)が嚙まないように寄せなければなりません。 袋の片側に粉骨を寄せた状態で真空包装機にかけると、袋の内部は99.9%の真空の状態で密封されて出てきます。
99.9%の真空状態
その状態がこの写真です。
※袋の中身はホットケーキミックスです。
※もちろん袋の封を切れば、真空密閉前のサラサラな状態に戻ります。
上部の余白スペースに粉骨を寄せて、スーパーで販売されている上白糖のパックのように全体を均したいところですが、カチコチでどうにもなりません。
ノックをすると本当に「コンコン」と音がするほどです。 当店でも当初は99.9%の真空で密封したほうが良い!と考えていたので、出来るだけ平らになるように工夫をしながら真空にしていました。
しかし、粉体(粉骨などの粉末状のもの)の平袋を使用した体裁の良い真空状態の密封は、実はかなり難易度が高いのです。
体裁を考えなければそこまで難しいものではありませんが、真空状態で袋をシールしてしまうと、袋内部の粉体はもう動きません。
したがって、シールする前にあらかじめ開口部付近まで粉体を平らに押し広げてから真空にしてシールする必要があります。
口頭で理屈を言うのは簡単なのですが、実際にやってみるとこれがまあ難しいのです。
粉体の内部に含まれている空気を抜いて真空にする訳ですが、空気が抜けるのと一緒に微細な粉体も袋の口元から漏れ出てきてしまう可能性が高いのです。
小麦粉やきな粉に向かってフッと息を吹きかければ、もちろん舞ってしまいますよね。
でも、ゆ〜っくりそ〜っと息が出てるか出てないか分からい位の感じでそ〜っと息を吹きかければ舞いませんよね。
そんな感じで空気を一気には抜かず、時間を掛けてゆっくりと抜くようにしたり、あらかじめ粉体の空気を可能な限り手で押して抜いてから真空包装機にかけるなどの工夫も独自で編み出しましたが、それでも真空となるためには必ず空気は抜ける訳ですから、抜ける空気と一緒に微細な粉体は僅かではありますが袋の口元から漏れ出てしまうのです。
当店で粉骨加工を開始した最初の頃は、納得がいくまで3〜4回真空密封をやり直すということが当たり前でした。 しかし、当店店主も年々経験や知識も増えていき、そもそもご遺骨は火葬されているので、カビや微生物のエサとなるような有機物がほとんど残っていないうえ、当店では十分な乾燥をしたうえで粉骨加工をして完全に密封しているので、その後はきっとカビは生える可能性は限りなく低いだろう!と考えております。
もちろん、数十年の密閉状態での手元供養を経た実績が無いので、実際のところは「分からない」というのが正直なところですが、理屈的にはカビが生える可能性は限りなく低いのではないでしょうか。 したがって当店では「体裁が悪い」「密封後、袋の融通が利かない」「真空密封するメリットが感じられない」などの理由から、99.9%の真空密封は基本的にはお勧めしておりません。
平袋でお渡しする場合
現在、平袋をご希望のお客様の場合には、通常こんな感じで密封しています。
※袋の中身はホットケーキミックスです。
イメージとしてはまさにスーパーで売られている上白糖のパックみたいな感じです。
口元のシールをする前には粉体内部の余分な空気は当然抜きますが、シール後は袋内部の粉体は押せば動く状態です。袋も多少なら折り曲げられます。
ただし、もちろんお施主様からのご希望があれば真空での密封のご対応は可能ですので、その際にはご遠慮なくお申し付けください。
供養木箱「木霊」に納める場合
ちなみに当店の供養木箱「木霊」+粉骨加工サービス「粉雪」セットまたは、供養木箱「木霊」+粉骨済みのご遺骨の詰め替えセットをお求めの場合には立体の密閉袋に粉骨を密封するのですが、木箱へ納める際に粉骨を納めた密閉袋の融通が利かないと木箱自体に納まらなくなってしまうため、供養木箱「木霊」に納める前提で、立体の密閉袋への収骨をご希望の場合には真空での密封は出来ませんので予めご了承ください。
なお、以前当店で粉骨加工サービス「粉雪」のご利用をいただいたお客様の中で、現在真空密封状態でお手元にご遺骨があり「真空密封じゃないほうが良かった…」とお考えの方は、無料にて余分な空気を抜いた密封状態(上記写真右側)に入れ替えさせていただきますのでご遠慮なくお申し付けください。
※郵送の場合、往復の送料は自己負担(お客様→当店は元払い・当店→お客様は着払い)でお願い申し上げます。
当店では粉骨加工サービス開始後、ご依頼いただいた全ての方の履歴が残っておりますのでご心配なくお申し出ください。